フレンチ・マフィアの親友がいます。パリ時代に一緒に屋根裏部屋で暮らした仲です。この私が、極貧の亡命者&パリ大学の哲学生にして、組織の三下にすぎなかった彼の三食の面倒どころか、家賃、飲み代、タバコ代まで提供していたんだとか。私にはあまり覚えていないんですけど。
その後マフィアのボスになった友だち、恩義から、凱旋門の前にあるアパルトマン(かつて一緒に暮らしたところ)を私にプレゼントしてくれました。
が、マフィア業界も不景気風のようで、共通の友人いわく、「使っていないならアパルトマン、返したほうが、彼も本心では……」
で、パリに出向いて返却の手続きを、と。それを知ったマフィアの友ーー。
「どこの誰がそんなことをいいやがった? ふざけるな!」
マフィアの友がいうには「jingi」「仁義」なんだとか。
経緯は拙作「さらばマフィアとの日々」に。