夢の印税生活を送っている、親しい学友がいます。映像関係の売れっ子でした。
その彼、毎年大枚の印税を自動的に受け取っていることを、ずっと私に内緒にしてきました。
「ウチヤマが嫉妬すると思って」
聞いた瞬間、もの悲しい思いにとらわれました。
なぜウチヤマアドラーが、親友の幸運をねたまなければならないのか?
嫉妬? 一欠片も感じません。友だちの幸運を祝福するのみ。
なのに、そんなことを考える奴だと生涯の友に思われていたことが、悲しくてなりません。でも私ってそんなレベルの奴に見えているのでしょうね。ああ、無情。
正直にいうならば人生で2度だけ同業者に嫉妬したことあり。
先に小説家としてデビューしていた学生時代の今野敏さんに、そして同郷の新人作家時代の藤堂志津子さんに。つくづく自分がいやらしい奴だと思いました。