アラン・ドロン主演、ジャン・ピエール・メルヴィル監督のフランス映画『サムライ』を久しぶりに見ていて、内山安雄のデビュー小説『エトワールに銃口を』のモデルになった我が友を思い出さざるを得ません。
若き日から今に続く孤独感、人を寄せつけない風貌と内面、そして冷たさなど、『サムライ』のアラン・ドロンによく似ています。
裏社会に生きてきた友だちなので(今は表世界にいると思います)、詳しくは書けません。
パリで別れてからも何度となく会って、いちおう歓待してくれています。
が、彼のお屋敷に泊まることは、もうないでしょう。もしも会ったとしても、カフェでコーヒーを一杯飲んで、さして話をすることなく別れるでしょう。
彼が、人生で唯一受け入れた人間がウチヤマだと周りにいわれています。が、それも終わりなのだと前回の、最後のパリ滞在で痛感したのです。常に一人でいたい彼には、もはやウチヤマすら必要ないのでしょう。諸行無常なり。