20代半ばの私は、テレビドラマ『明日の刑事』の脚本家の一人でした。
「役者よりも今すぐにほしいのは脚本家です。いい脚本家いませんか?」
そこでウチヤマ青年、仕事ほしさに思わずーー。
「います! うちの会社に若い脚本家が!」
で、半月後にはシナリオを完成して脚本家としてのデビューです。
が、自分だと名乗るわけにはいかないので、問われるままに
「うちに所属する脚本家で、八田功次郎といいます」
といい加減な筆名を口にします。
八田は「ハッタリ」から。功次郎は、プロダクションの社名が「ジゴ企画」だったので適当に「ジゴロ」→「小ジゴロ」→「功次郎」と。
その後春日プロデューサーに何度も、
「脚本の打ち合わせをしたいから、八田さんを連れてきて」
といわれても、今さらどうにも……。
「八田は大の恥ずかしがり屋で、いや、人間嫌いでして」とかなんとか。
それからも脚本を書いているうちに、ついに春日プロデューサーいわく。
「八田さんって存在しないんですね。ウチヤマさんが八田功次郎であること、かなり早い時点でわかっていましたよ」
アハハハハ。懐かしや。
