私が小学校に上がった直後のこと。
家の前を足を大きく引きずる中年男性が通りかかりました。
それを見ていた母親が、何の気なしにいいました。
「いい子にしてないと、あんなふうになるんよ」
それを聞きつけた父親が、母親にではなく私に向かって烈火のごとく怒り狂いました。
「なりたくて、ああなったんじゃないんだ! 人様の不自由な体のことをあれこれいうなんて、絶対に許さん! 覚えておけ!」
その勢いに圧倒され、肝に銘じた子どもでした。このことが私の原点に、ずっと大事にしてきました。
つい最近、私が原告になった民事裁判で、裁判長に、「あなたの人生で一番大切にしているものは?」と問われて、ふと思い出しました。