ネットでの誹謗中傷が社会問題になっています、が、私の時代ではもっぱら文書でした。
中編小説『笑って西安』を老舗文芸誌に発表したおりのこと。
日中2人の主人公たちの会話が、すでに引退していた山口百恵さんのファンクラブの代表者とやらの気にさわったようです。
「我々の百恵ちゃんを侮辱する権利なんてお前にはない。殺されたいか」
小説の中で百恵さんを侮辱した覚えなんてありません。
主人公の中国人青年いわく、「日本に帰国したら、オレにプレゼント? 山口百恵のカセットテープを送って!」
相手役の日本人青年いわく、「百恵ちゃんなんて古いよ、もういないんだから」
「古くてもいいんだ! オレ、大好きだし、中国じゃ今だって人気者なんだからさ」
たったこれだけのことで、「殺されたいか」口撃です。拙作を最後まで読めば、まったく百恵さんをおとしめていないとわかるのに、やれやれ。
にしても、この抗議文(脅迫状もどき)を、担当編集者が、自分で開封した上で、内山安雄に転送してきたことです。いったいどういうつもりで???? アハハハハ。